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ゆめにっき

ネットで他人の書いた夢日記を読むと、あまりにも奇天烈な内容に正気を疑ってしまうことが多々あります。それに触発された当サイトの管理人が過去に見た日常に潜む混沌と狂気、"夢"の内容を書き綴ってみました。



『転校生』2007年頃

主人公は高校の寮で一人暮らしをしていたが、ある日を境に女子の転校生が現れて主人公と同じ部屋に入寮することになった。

そこから突飛な展開になるが、その転校生が望んだことはたとえどんな事象であろうと実際に起きてしまうので、主人公は転校生の妄想を何としても阻止しなければならなくなった。

転校生の不可解な能力については学校関係者全員が知っているが、転校生本人だけは知らない。

また、どのような事態が起きるか予測できないので本人には絶対に知られてはならない。

それから主人公は毎日のように転校生を相手に奔走するのだが、数週間もするとその関係に疲れ果ててしまう。


そんなある日のこと、主人公が教室で他の女子と話していると、転校生が凄い形相で主人公を睨んでいた。


翌日の朝、主人公は床に横たわり拘束された状態で目覚めた。

目の前には転校生が居た。

「ずっと一緒にいようね」

「そんな馬鹿なことができるわけないだろう」

そう返答したところで気付く。


――彼女が望んだものは現実になるのだと。



『アカウント名の変更』2016年9月19日

「私のアカウント名をこれに変更して」

デスクに座っていると、目つきの鋭い女に何かしらの文字が印刷された紙を手渡された。

その紙には「伏見カタカガタガ──」と長く読みにくい偽名《ハンドルネーム》が書かれていた。

「変更はYouTubeのアカウントだけでいいのか」

「当然、他のもよ」

「やれやれ……」

一度書けば後はコピペで済むだろうと考えながら、俺はアカウント名の変更に取り掛かったのだった――



『遁走の蹉跌』2016年

自室で目覚めたあと、ぼくはすぐに身支度を整えて外出しました。

ところが気づくと、また自室で目覚める場面に戻ってしまいました。

それを何度か繰り返したあと、家を出る時に何となく後ろを振り向くと、髪の長い女の子がゆっくりと近付いて来るのが見えました。

――彼女に捕まると自室で目覚める場面からやり直しになるようです。

仕組みは理解できましたが、恐怖心はないので、急いで逃げることもなく、何度も彼女に捕まっては自室で目覚める場面からやり直しになりました。

それでもぼくは、その循環を受け入れていました。



『伸びる猫・明晰夢1』2015年

家の中を歩いている最中、ふと「これは夢の中だ」と気付いた。

廊下で黒猫と出くわしたので、努めて冷静に「胴体よ伸びろ」と念じると、ほんの少しだけ黒猫の胴体が伸びた。



『のっぺらぼう・明晰夢2』2015年

見知らぬ道を歩いている最中、ふと「これは夢の中だ」と気付いた。

他に誰か居ないか探すと、老女の後ろ姿が見えたので声を掛けた。

老女が振り向くと、のっぺらぼうだったので走って逃げた。



『詩編』2015年1月21日

詩編を読んだ。

有限のものは儚いという内容で、最後は"かみ"と結ばれていた。



『銃撃戦』2012年11月27日

一匹の飼い犬と数人の仲間と共に、明治維新直後の日本を旅する事と相成りました。

誰も居ない廃屋で仲間と暖を取ろうとした途端、「武装集団が近隣で争っている」と仲間の内の一人が言い出したので、飼い犬を残して様子を見に行くことになりました。

確かに遠くの建物を遮蔽物にして軍隊が銃撃戦を行っていましたが、こちらまでは来ないだろうと判断してすぐ引き返すことにしました。

そうして廃屋に戻った後、連れの男女が一室で抱き合っていたので、一緒に行動していた女と半ば呆れながら部屋を出ました。

時間が経過した後にまた部屋に戻ったら、ふと一緒に旅をしてきた飼い犬が13年前に交通事故で亡くなっていることや、「この雄犬が亡くなる前に、雌と交配して誕生した仔犬を今現在も飼っている」という〈現実でのペット飼育事情〉を夢の中で思い出した途端、犬は姿形を変えて4匹の子犬に変化しました。

いずれにしろ同じ犬種で見た目もあまり変わらないので、どう反応すればいいのか判然としませんでした。



『世界平和』2011年5月6日

一緒に歩く私と連れの二人を、崖の上から一団が見下ろしていました。

一団はお調子者の集まりのようで、次はどんな悪戯をしようか計画を立てながら先回りしている様子でした。

マンホールの下に降りて下水道を通り、梯子を上がると六畳ほどの部屋に出ました。

そこで「お題と回答」を交互に出し合うテレビ番組のような形式の作戦会議が始まりました。

一団の中で最も若いとおぼしき男がフリップに秘策を書いてカメラに向けました。

「自分よりも 世界平和」



『羞恥心』小学生低学年の頃

向かい合わせでソファーが並べられた狭い部屋に、ぼくと裸の女の人が数名座っていました。

正面にはスーツ姿の男が微笑を湛えながら座っていました。

女の人たちは皆スポイトのようなものを股間に装着していたので、これは何かと隣に座る女の人に訊ねましたが、返答はありませんでした。

ふと自分自身も裸だと気付き、手で股間を隠しました。

「恥ずかしがらなくてもいいじゃないか。男の子なんだから」

標準語を話す正面の男に、そう窘められました。



『迷路』2006年頃

迷路の中を僕は彷徨い歩いていた。

迷路の類は好きなので上機嫌で歩いていたが、唐突に「お前は逃げられない」と男の声が聞こえた。その瞬間、場面が建物内に切り替わった。

直後に、僕を含めた複数の子供たちが、姿のない大人たちの目論みにより、出入り口のない旅館に閉じ込められたことを知らされた。よく考えれば迷路にいる時点で閉じ込められていたのだけど。

その旅館は全室がいわく付きで、首吊り自殺があった上にその遺体が放置された部屋や、実害はないものの幽霊がにじり寄ってくる部屋など、できれば泊まりたくない部屋ばかりだったが、僕はその中でも比較的安全そうな「老女と犬の幽霊が出る部屋」に泊まることにした。

部屋に入り、まずは何となくトイレに入ると、板のように薄いパソコン(当時はまだタブレット端末は普及してなかった)が便座の上に置いてあり、なぜか「老女と犬の幽霊」とテキストチャットができる状態になっていた。

とりあえず、その板状のパソコンを手に取って意思疎通を試みたところ、この「老女と犬の幽霊」が意外とフレンドリーで良識的な好人物と犬だと知ることができた。

「お連れしました」

唐突にメイド服姿の女が当時リアルで飼っていた犬二匹を連れてトイレに入ってきた。 さらに二匹の飼い犬は、トイレの隅に空いた大きな穴に近付こうとするので、僕はそれを必死に阻止することになった。

穴の真下には――線路が見えた。しかも凄いスピードで線路の上を走っている。この旅館は、走行中の電車のような構造だったのだ。

外に通じているが、落ちたら――命はないだろう。

後日、他の子供たちと話し合って脱出を試みることになった。しかし、長い道のりで様々な罠や、体長3メートル以上の巨大なイカに襲われて、旅館の最深部に到達する頃には、生存者は僕一人だけになってしまった。

旅館の最深部には、映画『スターウォーズ』に登場する"ヨーダ"が鎮座していた。

「脱出する鍵は、お前の部屋の中にある。もうすぐこの旅館は崩壊するから、急いで戻れ」

ヨーダにそう告げられ、急いで元来た道を引き返して自室に戻った。

今までナチュラルな木目だったはずの廊下や部屋の壁が、赤や黄の交わったサイケデリックな色合いに変色していた。

「普段は当然のものとして見てきた日常風景が、実は異常なものだった」と、その時に気付かされたのだった。

そうして、自室の机の引き出しの中を開けると、鍵――ではなく、微かに光る卵を見つけた。それが脱出するための鍵だと直感し、ここから脱出したいと強く念じると、辺りが眩い閃光に包まれた。

――気付くとそこは見知らぬ浜辺だった。

しばらく感傷に耽りながら周辺を散策すると、道中で戦った巨大なイカが、魚屋で見かけるような普通のサイズになり岩場の水たまりに浮かんでいるのを見つけた。

さて、これからどうやって家に帰ろうか――



『ユニコーン』90年代半ば

雪の降る冬の夜、親とはぐれた幼い迷子のユニコーンを拾って自室で飼うことになりました。

一緒にかくれんぼや神経衰弱で遊んだら、思いのほかユニコーンの記憶力が優れていることに驚きました。

そうこうして夜明け頃に「両親が迎えに来た」とユニコーンが言いました。

それと同時にユニコーンの背中から羽が生えてペガサスになり、窓から両親のもとに飛び去ってしまいました。

「お前も私たちと同じ国から来た。だからお前もいつか帰る日が来る」

最後にユニコーンから、そう告げられました。

目覚めた時、涙で頬が濡れていましたが、夢で泣いたのはその日が最初で最後でした。

後に飼うことになる犬の来訪を予見した予知夢だったのかも知れません。



『祈り』◆小学生低学年

小2頃のある日、 私は兄と一緒に両親の寝室で遊んでいました。
兄が用を足すために寝室を出た後、私は仕方なくテーブルをぐるぐると周回することにしました。

しばらくして、ふと窓の方を見たら、髪の長い女の影がカーテンをすっと横切りました。

瞬時に心の中で「幽霊だ!」と驚くと、その影はカーテンの中央でぴたりと止まりました。

「霊体は人の心の声を聞ける」と気付くと同時に、慌てて部屋を飛び出して振り向きましたが、影は跡形も消えてなくなっていました。

なぜ神道やキリスト教の祈りは、声に発さず心で念じるのか、その理由を何となく理解できました。

「ほんまに恐がりやなぁ……」

そこへ常日頃から現実主義を標榜する兄が帰って来て、一人で大人しく留守番もできない私の将来を案じてくれたのでした。



『炬燵』◆小学生高学年

小学生高学年のある日の 深夜二時。その日は二階自室に上がるのも面倒なので、そのまま居間の炬燵で寝ることにした。

電気の紐を引っ張って消灯したところ、目の前に鮮明な白い影が浮かんでいた。

最初は「電気の明かりが目に焼き付いたのだろうか」と疑問に思ったが、それならば夜に電気を消す度に、妙に浮いたこの白い影が見えるはずだろう。

しかも、よく見るとワンピースを着た髪の長い女の姿にも見えるし、その影は僕を抱きしめるかのように、両腕を広げながら徐々に近付いて来た。

咄嗟に炬燵の中に潜り、一夜を明かした。

もちろん、その日は一睡もできなかったのだった。



『穴』◆2009年

その日は連休を利用し、実家に帰省して二階自室で眠ろうとした。

眠りに就いた後、真夜中に頭上をぐるぐると回る気配を感じて目覚めた。
いつもなら夜中に目覚めても、目を開けないように注意を払っているが、その日は気が緩んでいたのか、その気配が足元に移動した時、つい目を開いてしまった。

最初は母が部屋に入って来たのかと思い、その影に向かって思わず「母さん?」と声を掛けてしまったのだった。影は返事を返すわけでもなく、足元から枕元まで歩かずスーっと移動し始めた。よく見ると髪が腰まで伸びていたので、ようやく母ではないことに気付いた。

躊躇いながら顔の方を見ると、目と口の部分が夜の闇より更に真っ黒な穴になった女がこちらの顔を覗いていたのだった。

相手が人ならその場で取り押さえないと危険だが、生身の人間ではないと即座に判別できたので、とりあえず寝たふりで乗り切ろうとした。ところが目を閉じてもずっとこちらの顔を覗く女の姿が見えるし、なかなかその場から離れてくれる様子もなかった。

「霊というものは視覚ではなく、第六感によって見えるものだから視力は関係ない」という心霊系の記事を読んだことがある。例えばあちら側が見える人は、普段から眼鏡を掛けるような人でも、たとえ眼鏡を外そうが目を瞑ろうが、はっきりと霊の顔を見ることができるのだとか。

それはさておき、あまりにも鬱陶しいので抵抗しようとしたら、金縛りに遭って一切身動きが取れなくなってしまった。 数十秒ほど悪戦苦闘しながら、情けない裏声を発したら、意表を突かれて驚いたのか、霊は部屋の隅に移動した。しばらくして金縛りが解けたので、すぐに電気を付けて向かい側の寝室を借りてその日は眠ったのだった。

思ったのは、「明日は仕事なのに勘弁してくれよ」という感想だけでありました。



『こんにゃく・明晰夢3』2023年3月27日

久しぶりに明晰夢を見た。明晰夢とは「夢の最中で『これは夢だ』と気付き、行動と場面転換を自由にコントロールできる状態の夢」のことで、感覚的に現実と変わりないのに、痛点がないので多少の無茶も出来るというもの。これはHMDを被ってVRChatをプレイするのに近い感覚だと思う。

人よっては、夢の中で本を手に取りページを捲ると、脳の処理が間に合わないのか、文脈の破綻した意味不明な文章の断片が書かれているので、それをきっかけに「夢の中だ」だと気付いて、明晰夢に入れるようだ。

とにかく夢の中で習慣的に「本を探して開く」ことや「自分の手を見ること」を心がけると、明晰夢に入る確率が上がるのだとか。

「文章」や「ヒトの手の形」は、休眠中の脳が素早く描写するには限界があるらしく、どこかしら不自然になるのだとか。

他に見た明晰夢の中で印象的だったのは、自室で目覚めた途端に「これは夢だ」と気付き、意識を覚醒させて目覚め、次こそは本当に目覚めたつもりが、それもまた夢……さらにまた目覚めたら、それでもまだ夢の中。しまいには「部屋に貞子のような霊が現れるかも知れない」とネガティブなことを考え始め、さらに「それが具現化するかも知れない」と思うと余計に怖くなり、とにかく部屋の中で走り回り脳を活性化させて目覚めようと悪戦苦闘したこともあった。なぜか明晰夢は、過剰な刺激や興奮を脳に与えると途中で目覚める傾向がある。たぶん……他の人はどうだか知らないけども。

それはさておき、自室で目覚める場面に切り替わった時、母に日頃の感謝を伝えようとキッチンに向かった。

しかし、キッチンにいた母は独り言を呟きながらタッパーに入った〝こんにゃく〟を串で何度も刺していた――

気付いたら再び自室で目覚める場面に戻った。

めげずにもう一度キッチンに行ったら、さらに母の〝こんにゃく〟を串刺しにする動作が激しくなっていた。

一体〝こんにゃく〟に何の恨みが……?

また自室で目覚める場面に戻り、三度目の正直ということで、キッチンに向かった。

そうして、母が微笑みを浮かべながらナイフを手に取り、こちらに近付いて来たところで目覚めた。

やはり感謝の気持ちは直接伝えなくてはいけないのだろうか。



『繋いだ左手』2007年

いつも通る駅前の通勤道を、見知らぬ女の人と手を繋いで歩いていた。

色白で目鼻立ちのはっきりとした端麗な容姿の女性だった。

当時18歳の頃は人通りの多い駅前が苦手で、通勤のためにわざわざ迂回して通るほどだった。

しかしながら、その人に左手を引かれながら歩いていると、ふしぎと不安感もなく歩けた。

――ふと僕の様子を見るように、その人が振り向いた。

「今お前の歩んでいる道は間違いじゃない。お前は一人じゃない。自分の道を信じて歩みなさい」

そんなことを伝えたいのだと直感した。

その日から僕は人通りの多い道を平常心で歩けるようになったのだった。